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なるにわ ぶろぐ

「なにものか」でなくともよい場所、なるにわのブログです。
なるにわの活動、づら研などについて
おもに、コーディネーターの山下耕平が書いてます。

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関係の貧困

先日、野宿者ネットワークの生田武志さんにうかがった話のなかで、とくに自分たちにひきつけて考えられる点を、ここに書いてみたい。
まず、野宿の問題は、イス取りゲームの結果だという視点を、生田さんは示してくれた。雇用のイスはかぎられており、かならずあぶれる人はいる。そのとき、頼れる人がいなかったり、ストックが尽きてしまったり、さまざまな事情が重なって、だんだん野宿に追い込まれていく。野宿者は55~65歳の男性が圧倒的に多い。肉体労働の需要は若い人に偏り、生活保護は65歳以上にならないと受給しにくい。そのため、この年代に野宿化する人が多いのだ。しかし、皆無に近かった若い人や女性の野宿者も、最近はよく見かけるようになったという。また、正規雇用が急減してフリーターが増加した結果、若い人でインターネットカフェなどに寝泊まりしている「ネットカフェ難民」、新しい「ホームレス」が増えてきていると言われている。生田さんは、イギリスやアメリカに若年ホームレスが多いことを例にあげ、それは家族が若者を支える文化がないからだと指摘した。イタリアや日本では、成人しても家族が支えるため、若年者がホームレス化することは少ない。しかし、日本も状況は急激に変わってきており、やがて若者のホームレス化は一気に進むのではないか、と生田さんは語っていた。

ここで考えたいのは、関係の貧困の問題だ。人が人を支える関係がズタズタになっている。そのなかで、賃金を稼げない人を支えるのは、〈福祉〉か〈家族〉かに二極化している。障害者や高齢者は不十分ながら福祉の対象となるが、それ以外の層は、家族が支える以外にない。だから、家族の支えを失ったとき(ホームを失ったとき)、まったく孤立してしまう。その現象のひとつが野宿化ということだろう。しかし、これは野宿者のみの問題ではない。社会のなかに居場所がなくなって、スカスカになってしまったなか、核家族にしか居場所がないというのは、おそろしく貧困な社会だ。野宿者への偏見が根強いのは、恐怖感の裏返しだとも言えるだろう。
夜回りに参加させてもらったあと、メンバーのひとりは「こんなふうにはなりたくないという本音が出た。怖かった」と語ってくれた。その恐怖感は私にもある。それは、野宿生活への恐怖でもあるが、それ以上に、自分がお金を稼げなくなったとき、誰も支えてくれないことへの恐怖感だと思う。逆に言うならば、この恐怖感があるからこそ、多くの人はがむしゃらになって働くのだろう。この社会は、恐怖を原動力に、加速度的に動いている。
では、どうしたらよいのだろう?
雇用・労働の問題は措いて、関係の貧困のみにしぼって考えると、核家族に押しつけられている問題を社会に返上し、人が人を支える関係を、開かれたかたちでつくることが、切に必要だと思う。NPOが果たすべき役割というのは、そこにあると言ってもいいだろう。
具体的なことになると、いろいろ難しさや矛盾もあるが、このあたりは、もう少し整理して、また別に書いてみたい。


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今時のドヤ

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レンタル毛布@ネカフェ

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貧乏人ご用達

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  • 2007/06/06(Wed)
ナイトパック料金が、最大12時間までの制限つきで、1680円也。 粗末な宿。 銭湯と小さな路地とパパママショップと安いアパートを壊す。大きな車用道路と高いマンションを建設する。正規雇用を減らし、非正規雇用を増やす。行政は、プライバシーを保護できるホームレスのシェルターを作りたがらない。公園や駅前や大きな建物の前は、人を野宿できないようにする仕掛けがいっぱい。 そして、繁盛しているのが、ここ。

笑えるか

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店の前でフリータイムパックの広告。12時間で1980円。朝でも昼でも12時間以内ならこの料金で店内施設を利用できる。 さて、こうしたところへ追いやられる人を「子供っぽい」としてバカにする人がいる。あなたは日雇い派遣労働者と子どもの両方を侮辱しているのではないだろうか。

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「なにものか」でなくともよい場所、なるにわ(NPO法人フォロが開いてます)。毎週土曜日の午後にサロンを開いているほか、づら研(生きづらさからの当事者研究会/月に1回)、終末ティータイム、冊子『もじにわ』刊行、なるにわラジオ配信などの活動をしています。ブログは、おもにコーディネーターの山下耕平が書いています。

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