忍者ブログ

なるにわ ぶろぐ

「なにものか」でなくともよい場所、なるにわのブログです。
なるにわの活動、づら研などについて
おもに、コーディネーターの山下耕平が書いてます。

© NPO法人フォロ

   

シリーズ仕事人「樹医の話」 盛田直樹さん

今回は、樹医の盛田直樹さんにお話をうかがった。
盛田さんは、青森の出身で、高校卒業後、東京でサラリーマン生活を6年ほど続けていたが、頭ばかりを使う生活に違和感を覚えて休職し、自分のことを考えたいと、半年ほど無為の生活を送った。そして、日本樹木保護協会に連絡をとり、樹に関わる仕事を始めてみたら「自分にピタっときた」という。以前からインディアンの世界観への興味もあって、木や大地の霊性に感じることは多かったようだ。
IMG_5142.JPG
さて、樹医とは、どのような医者なのだろうか? たとえば害虫などが出ている場合、その虫の駆除だけを考えていては治療にならないという。まず、なぜその虫が異常発生したかの原因を探る。すると、ちょっと離れたところで工事があって、その木の根がダメージを受けていたりする。そういう原因をほうっておいて、出てきた症状にだけ対処しても治すことにはならない。木も人も、いろんな生物の関わりのなかに生きていて、そのバランスがとれていないと不調を来す。治療は、そのバランスを回復することにあると言える。いわば発想が東洋医学的なのだ。そのあたりの話は、とても興味深かった。

しかし、樹医の仕事だけでは食べていくことはできない。盛田さんは、お金を稼ぐ仕事としては造園業を営んでいる(創景舎らくだ屋造園)。6年ほど修行して5年前に独立。日々、汗を流しながら日当を得ている。それ自体は「小さな世界」だという。お話をうかがっていると、まさに肉体労働で、1回木の上に登ると3時間は降りずに作業を続けるそうだ。盛田さんいわく「命のやりとりをしている」「油断するとこっちが危ない」。予定は天候に左右され、雨が降ると休み。だから、スケジュールを予定的に組むことがなかなかできないそうだ。

また、樹医の仕事はなかなか入ってこない一方で、治療とは反対の伐採の依頼はたくさん入ってくる。そのあたりは葛藤もあるようだ。日本では木への感性は鈍くなる一方だ。盛田さんは3年前にイギリスに留学しているが、イギリスでは50年経った木は共有財産になるという。伐採するにも、木のライフサイクルを考え、いちばんエネルギーの充実している冬に伐ると、その木は死ぬことなく再生していく。それに対し、日本では、木々のバランスも考えず、ただジャマだからと伐採していく。それは、木と生活の結びつきが離れているからではないかと、盛田さんは話していた。家屋にしても、燃料にしても、木を切らせてもらって、そのおかげで自分たちの生活が営めているという感覚は、ほとんどなくなっている。また、植林して木材になるまで育てるサイクルは数十年単位だが、この数十年で、それはまったく狂ってしまっている。山を自然だという人がいるが、ほとんどの山は田んぼのようなもので、「自然」ではない。だから、人の関わりによって、まったく変わってしまう。

盛田さんは伐採で得た収入を基金としてストックし、将来的には、その基金を元手に木家集団をつくりたいと話していた。木家集団とは、山主から製材者、大工さん、建築家など木に関わる人がつくる団体のことで、木に対する哲学をもった、ひとつのサイクルをつくることと言えるだろう。
  *  *  *
どんな仕事にも矛盾はあるし、日々の仕事は、それ自体は地味なものだったりする。けれども、根に哲学をもっていたり、長期のビジョンを持っていると、日々の仕事の意味も変わってくるように思う。盛田さんのお話をうかがいながら、そんなことを考えていた。


COMMENT

NAME
TITLE
MAIL(非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS(コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます

お酒を飲んで忘れましょう

  • by fullta
  • 2007/07/08(Sun)00:56
  • Edit
労働が自己実現の場であるというのは、「理想的」な社会であればそうである。
そこでは労働が「理想的」に機能し、「理想的」な社会を維持し、その中で「理想的」な自己を実現できる。

というような話は放っぽっておきたい気分がある。
僕は今、自分がやっている労働から不快感ばかり得ているし、それが労働の本質だと実感している。ついでに、その不快感と赤の他人の不快感を化学反応させたりして、そんな糞ッタレは理想社会では生きていけないのだ。
「不快のみ信ず、余は余とともにありし不快の他に何物をも知らざればなり」ってか。

酒を飲みながら、自室の天井を見上げれば、蛍光灯の覆いの中で蝿が死んでる。白い光の中に黒い一点、まるで星のようだ。
曇天の七夕だったけど、まあとりあえず、星に願いを。


山下さんへ事務連絡

来週の土曜は広義の強制出勤で、「ふぇみん泊まってシンポ」に参加できないことを伝えました。
再来週は叔母の納骨で参加できないことになりそうです。

TRACKBACK

Trackback URL:

Profile

HN:
なるにわ
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
「なにものか」でなくともよい場所、なるにわ(NPO法人フォロが開いてます)。毎週土曜日の午後にサロンを開いているほか、づら研(生きづらさからの当事者研究会/月に1回)、終末ティータイム、冊子『もじにわ』刊行、なるにわラジオ配信などの活動をしています。ブログは、おもにコーディネーターの山下耕平が書いています。

Twitter

ブログ内検索

カレンダー

10 2017/11 12
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

最新コメント

[04/06 鳥居]
[02/08 みやすけ]
[01/13 山下耕平]
[01/13 M]
[11/21 山下耕平]

QR Code

携帯からもアクセスできます。

AD

PR
Copyright ©  -- なるにわ ぶろぐ --  All Rights Reserved
Design by CriCri  / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]