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「なにものか」でなくともよい場所、なるにわのブログです。
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ちんどん通信社 林幸治郎さんに聞く!

ちんどん通信社の林幸治郎さんにお越しいただき、じっくりお話をうかがった。
林さんは1956年生まれ。大学時代にアパートのそばを通りがかったチンドン屋さんのトランペットの音に惹かれて、学内でチンドン研究会を立ち上げ、卒業後は、西成のチンドン屋さんに住み込みで働く。チンドン屋さん自体が衰退産業のなか、新人さんが来るのは30数年ぶりだったとのこと。林さんの次に若い人が58歳だったという。
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学校に行っていたときは、出会うオトナは親や先生など、マジメで品行方正なオトナばかりだった。ところが、チンドン屋さんに入ってみれば、「これでも生きていけるんだ」というような60~80代の人たちがたくさんいて、家も貯金もないのに、毎日が楽しそうだった。林さんは、将来のことを考えて、日々が不安になるより、その日一日が楽しいということの大事さを感じたという。

林さんは3年後に独立する。最初はバイトしながらだったそうだが、いまでは25名のスタッフを抱える大所帯。年間1000件もの仕事をこなしている。94年には、林さん原作のドラマがNHKで放映されるなど(銀河ドラマ『青空にちんどん』)、林さんはチンドン界“中興の祖”じゃないかと思うのだが、ご本人は、いたって謙虚な方だ。

お話をうかがっていると、その謙虚さは一貫していて、林さんを貫いている哲学だといってもいいように思った。
チンドン屋さんに入って、最初の5カ月は、ノーパン喫茶のサンドイッチマンの仕事だったという。寒い日も暑い日も、ただ、ひたすら立ち続ける。しかし、立ち続けていると、いろんな人に話しかけられ、たとえばホステスさんの身の上話も、よく聞いたそうだ。
チンドンについてまわるようになってからは、「住宅街を発見した」という。住宅街にいるのは、主婦、子ども、老人、障害者、病人などで、お年寄りから戦争体験を聴いたり、子どもからも「家に帰っても誰もいない」といった身の上話を聞いたり、さまざまな話を聞いた。チンドン屋さんは、見下されているがゆえに、かえって相手はガードを解いて、自分のぶざまなことでも話してしまう。そういうコミュニケーションのおもしろさがあると、林さんは語っていた。

チンドン屋さんは、芸能の世界では最底辺に位置していて、ミュージシャンでも演劇の人でも、「ああはなりたくない」と思っているものだそうだ。たしかに、人を揶揄するのに「チンドン屋みたい」と言ったりする。また、チンドン屋さんは、路上をまわるため、見たくない人、聞きたくない人にも不快を与えない技術が必要だという。そこが、ホールや劇場で演じるのとは根本的にちがう。街ゆく人は基本的にブルーで、おもしろくない思いもいっぱい抱えている。街は、劇場のような“ハレ”の場ではなく、日常の“ケ”の場だ。しかし、路上だからこそ花咲く技術があるのだという。たとえば、ラーメン屋さんのチャルメラの音。聞くとはなしに聞こえてきて、食欲をそそられる。こちらが表現を押しつけるのではなく、なんとなく人を引きよせてしまうような音――。それでも、塾通いばかりしている子どもたちのいる住宅街などに行くと、けむたがられることはあるそうだ。

林さんは、人々の息づかいのなかで仕事をしている。そういうふうに感じた。お話を聞けば、ずいぶん著名な方ともいっしょに仕事をしているし(岡林信康、岩崎ひろみ、ジャッキー・チェンetc...)、世界中で仕事もされている。しかし、まったくエラそうな素振りがなく、カッコつけていない。見下されることをよしとし、それゆえにコミュニケーションの息づかいのなかで仕事をされている。それは、とてもすごいことだと思う。

お話は、3時間近くにわたってうかがったが、まだまだ聞きたりないほどだった。また、今度は、チンドン屋さんについて街を歩かせていただけないかとお願いした。きっと、街の風景も、ちがって見えるのではないかと思う。


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「なにものか」でなくともよい場所、なるにわ(NPO法人フォロが開いてます)。毎週土曜日の午後にサロンを開いているほか、づら研(生きづらさからの当事者研究会/月に1回)、終末ティータイム、冊子『もじにわ』刊行、なるにわラジオ配信などの活動をしています。ブログは、おもにコーディネーターの山下耕平が書いています。

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