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「なにものか」でなくともよい場所、なるにわのブログです。
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樹の治療現場

tree01.JPGアドヴァイザーのひとり、樹医の盛田直樹さんにお声かけいただいて、樹の治療現場に参加させていただいた。治療するのは枚方市のホースセラピー牧場にあるヒマラヤスギ。高さは15~16mくらいだろうか。毛虫に食い荒らされて、見るからに元気がない。シロート感覚では、ついつい毛虫を駆除すればいいんじゃないかとか考えてしまいそうだが、そもそもは樹のバランスが崩れてしまったことが病気の原因。その状態を放っておいて虫だけ駆除しても解決にはならない。

盛田さんの見立てでは、病気の原因は表面を覆う土だった。この場所は、もともと紡績工場が建っていたところで、解体後、建物のガレキごと残土で埋め立てたようで、30~50cmほど埋めたてられ、ブルドーザーでガチガチに整地されていた。そのため、雨水も染みこまず、根っこが呼吸することもままならず、いわば呼吸困難な状態になってしまっていた。治療に必要なのは、表面の残土をとりのぞき、排水路を確保すること。木の枝の拡がる範囲、半径5mほどを掘り返していく。

かなりの範囲はユンボで作業するが、樹の近くはスコップで作業。掘り出した残土は一輪車のモッコ(?)で運び出す。掘っていると、レンガやらタイルやら、いろんなものが出てくる。やさしくない土だ。

1日目は、この作業で終わった。私たちが参加したのは半日だけ。しかも、役に立ったとは言いがたい軽作業にもかかわらず、身体がガタガタ。へっぴり腰というコトバが身に染みた……。土を掘るのも手作業ではタイヘン。運ぶのもタイヘン。土の重たいこと。開墾した人ってすごいなとか、大阪城の石垣なんてどうやって運んだんだろうとか、物思いにふけってしまった。

tree02.JPG
2日目、腰がちょっと痛い。情けない……。それはともかく、作業のつづきに加えさせていただく。午後から参加すると、すでに排水路の確保まで仕事は進んでいた。ガレキをていねいにのぞいて、デコボコになったところは、いい土で埋め返す。ところどころに小さな穴を掘って、炭と肥料を入れる。これは、いわば点滴のようなもの。弱っている樹に肥料をきかせるためだ。さらに、場所が馬場なので、馬の通り道に、おがくずと馬糞を混ぜた土を敷き詰めた。馬が土を踏み固めてしまうと、樹が呼吸しにくくなってしまうそうだ。

およそ、そこまでで作業は完了。枝の剪定などもする予定だったが、時間が足りなかった。治療作業には、盛田さんと、お仲間の3人であたっていたが、みなさん仕事がていねいでこまやかだった。そのやさしさが、工場の残土とは対照的だった。

しかも驚いたことに、治療の効果が出るのは、なんと3~5年後だという。樹の時間感覚からしたら当然なんだろうけど、人間のせせこましい感覚からすると、気が遠くなるような話だ。実際、樹の治療の依頼は少ないという。樹のために、しかも効果が出るのが数年も先の話で、何十万ものお金をかける人がどれほどいるか、と。

盛田さんは、ふだんは造園業をされている。樹医ではとても食べていけないからだ。その造園業で稼いだお金の一部をストックして、樹の治療などに使うことにしていて、今回も、その基金から費用をまかなったそうだ。ほんとうに感服してしまう。また、そういう貴重な機会に参加させていただけて、感謝の気持ちでいっぱいだ。

樹の治療は、限られた時間や予算のなかで、なかなか100%はできないという。そうだろうなと実感した。壊してしまうのは簡単だけれども、生命の営みを回復するのは、すごく時間もかかる。

もう一つ、当たり前のことだけど、あらためて感じたこと。どんなに信念や哲学のある仕事でも、仕事の一つひとつは、地道な作業だということ。樹の治療は、作業としては土木作業だった。ふだん自分がいかに身体を使っていないかを痛感し、心地よい疲労とともに、ごはんがおいしかった。

→盛田さんにお話をうかがったときの記事

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  • by naoko
  • 2008/03/01(Sat)11:56
  • Edit
「限られた時間や予算のなかで、なかなか100%はできない。壊してしまうのは簡単だけれども、生命の営みを回復するのは、すごく時間もかかる」
人の一生、家族との関係にも通じる話ですね。根っこが大事というところも、樹も人も同じ。
人はたまたま人間なだけで、それゆえに見えにくくなっているけど、生命のしくみは樹と同じなんだと思いました。人としての生きづらさをとっぱらうヒントがそのへんにあるような。
  

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「なにものか」でなくともよい場所、なるにわ(NPO法人フォロが開いてます)。毎週土曜日の午後にサロンを開いているほか、づら研(生きづらさからの当事者研究会/月に1回)、終末ティータイム、冊子『もじにわ』刊行、なるにわラジオ配信などの活動をしています。ブログは、おもにコーディネーターの山下耕平が書いています。

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